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絵馬+和算=算額(さんがく)

  「一つの円の中に他の円がある。そして、それら二つの円の両方に接し、さらにそれぞれ接する偶数個の円があったとする。その内接円から同じ個数おきに4つを選ぶ、それぞれの直径を、東・西・南・北とすると、4つの直径にはどんな関係が成り立つか?」


 江戸時代の和算(わさん)は、このような難問に好んで挑戦し、解答できると、その問題・解答に図も添えて木製の額に記し、神社・仏閣に奉納しました。
(上記の問題の算額は、千葉県の旧海上郡岩井不動に関戸村 高木恒八道賢の名で奉納されたものです。絵に表すと下図のようになります)





 日本には昔から、絵に描いた馬=絵馬(えま)を神社などの納める風習があり、和算が一般庶民にまで普及するとともに、絵馬と結びついた算額がたくさん作られました。

 国史大辞典(昭和60年刊行 吉川弘文館)によれば、天和3(1683)年のものを最古として、史料的価値の高い算額が820面が現存し、その半数が文化・文政期(1804~1829年)から慶応期(1865~1868年)に成立したものだといいます。 

 では、典型的な算額の形式を直角三角形を使って説明いたしましょう。和算では、直角三角形を「鈎股弦」と呼びます。鈎(こう)は、直角をはさむ二辺のうち短い方、股(こ)は長い方、弦(げん)は斜辺のことです。

 最初に書かれるのは、問題文です。
「今有如図鈎股弦(今、図のような直角三角形があったとする)」
と書き始め、
「直角をはさむ二辺の長さが、それぞれ3寸と4寸だったとき、斜辺の長さは、いくらか?」
などと問います。
 ついで、 「5寸」という解答が示され、さらに解説文が続き、製作年月日、奉納者名で終わります。

 算額には、上記の直角三角形、内接円、外接円、対角線、さらには円周率などが、しきりに登場しますが、今の数学専攻の大学生にも手ごわい問題がたくさんあるようです。



 さて、お持ちかねの冒頭の問題の答えですが…、

向かい合う4つの円の直径には、

 1      1      1      1
-- + -- = -- + --
 東       西     南     北


「1/東+1/西=1/南+1/北」
     (分子/分母の表記です…「東」分の1+「西」分の1=「南」分の1+「北」分の1)
という、実にシンプルな関係が成り立つそうです。


参考文献:「千葉県の算額」(監修:平山 諦 出版・発行:成田山史料館)
       「だから楽しい 江戸の算額」(小寺 裕著 研成社)ほか


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過去には中学校、現在では都内・某私立高校と某女子大学で教鞭をとる。趣味も「日本史」「世界史」…? 歴史・文化・芸術…等々のジャンルで執筆していくよ!

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