「スペインかぜ 復習」
19世紀末の「ペスト騒動」についての話を書いて間もない4月25日、夕刊を見た私の目に「豚インフルエンザ 米・メキシコ同型 WHO感染拡大を懸念」という活字が飛び込んできました。(この時点で、死者62人、まだ、新インフルエンザという言い方はされていません。)
このニュースに接して、私がすぐ思い浮かべたのは、かつて“パンデミック”(世界的大流行)を引き起こした「スペインかぜ」のことでした。私はただちに、手元にあった10冊近くの世界史年表や世界史辞典にあたってみました。ところが驚いたことに ほとんど載っておらず、わずかに『近代日本総合年表』(岩波書店)の1918年の社会欄に「春―世界的インフルエンザとなったスペイン風邪、わが国に伝わり、翌年にかけて大流行(死者15万人に及ぶ)」という記事があっただけでした。
そこで、私は書店をめぐって『インフルエンザの世紀―「スペインかぜ」から「鳥インフルエンザ」まで』(加地正郎 著 平凡社新書)を手に入れ、それこそ読みふけりました。
同書によると、スペインかぜは、1918年から翌年にかけて世界で猛威をふるい、当時の世界人口約20億人のうち、6億人が罹患(りかん=かかること)し、約3000万人が死亡しました。日本では総人口5500万人に対し、約2300万人罹患、死者39万人近く という恐るべき数字が残されています。
スペインかぜの流行が始まった年に、終戦をむかえた第一次世界大戦の人的被害をみると、戦死者約1000万人、戦傷者1000~3000万人、一般市民死傷者500万人となっています。そして、第一次世界大戦を取り上げない世界史年表や世界史辞典はありません。スペインかぜがあまり扱われない理由が私にはよくわかりません。
さて、インフルエンザウィルスには、2種類の突起ヘムアグルチニン(H)とノイラミニダーゼがあり、それぞれのタイプの組み合わせで、その型を表現します。
スペインかぜの場合は「Hsw1N1」です。特に挿入してある小文字の“sw”は、 「swine=ブタ」のことです。ということは、「スペインかぜ」は、今回のインフルエンザの大先輩ということになるのでしょうか。
スペインかぜの場合は「Hsw1N1」です。特に挿入してある小文字の“sw”は、 「swine=ブタ」のことです。ということは、「スペインかぜ」は、今回のインフルエンザの大先輩ということになるのでしょうか。
もう一つ。「スペインかぜ」は、まず流行した国の名がつけられました。インフルエンザという言葉が入っていないなど、この命名には問題があるのだそうです。今、我々が直面しているインフルエンザには、「メキシコかぜ」と呼ばれることはないと私は思います。
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