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本屋って、何て幸せな空間なんだろう!

 「厖大な蔵書のため、自宅の床が抜けた話」を、作家の井上ひさしさんはその著書『本の運命』で紹介しています。しかし、我が家の書斎もそれに近い危機的状況にあります。2階にある8畳ほどの書斎の四面の壁はほぼ二重に置かれた本で覆いつくされています。大小とりまぜて、1万冊くらいはあると思います。

 2年に1回は2千冊くらい処分するのですが、今でも毎週2~3冊買うものですから、すぐにたまってしまいます。なぜ、そんなペースで本を手に入れるのか…、不思議に思う人もいるでしょう。そんな疑問に対する“しかつめらしい答え”は、いろいろ考えつきますが、私の場合は、本屋に行くのが好きであることが、最大の理由みたいなのです。

 私は、ほぼ毎日本屋に寄ります。たいてい職場の帰りか仕事で移動中ですから、すでに本の入った重いカバンを下げながら、本を探したり、ちょっと立ち読みしたりします。ご苦労なことです。

 本屋に行くときはいつでも、できれば、本を買いたいと思っています。このような有効需要を備えて、行くと、本屋は、まことに幸せな空間になります。

 さて、私の“本屋行(ホンヤ コウ)”を、さらに分析すると、行き方に、3つのケースがあるようです。

 その一つは、帰路に読む本がなくなったので、緊急に手に入れる必要が生じたときです。
 このケースは、週に1~2回と、意外に多くあります。そんなときでも、どの本でもいいわけではありませんから、本を選ぶのには、時間がかかります。もちろん至福の時間ではありますが…。 

 二つ目は、読む本を持ってはいるが“何かおもしろいものがあったら買おう”と思って行くケースです。
 このケースが、おそらく本屋訪問の過半数を占めているでしょう。ケン=フォレットの『大聖堂』や塩野七生氏の『わが友、マキャヴェッリ』などにめぐり合ったのは、この余裕あるケースのときでした。

 そして最後の三つ目は、ほしい本があって探しに行くケースです。
 目的があって本屋に行く。なんともすばらしいぜいたくでは、ありませんか! なかなか見つからなくても充実感でいっぱいになりますが、ついに見つけたときの幸福感は、なにものにも代えがたいものです。最近のことです。ガストン=ルルーの名作『黄色い部屋の謎』の続編『黒衣婦人の香り』が絶版になっていることを知り、古本屋や売れ残っていそうな新刊本屋を探し回り、約4か月後のこの11月はじめ、再版直後の『黒衣婦人』にお会いしました。天にも昇る気持ちでした。

 さて私は今まで、何冊の本に接してきたのでしょうか…。そして、これから何冊の本が読めるのでしょうか。

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【ハム先生】
過去には中学校、現在では都内・某私立高校と某女子大学で教鞭をとる。趣味も「日本史」「世界史」…? 歴史・文化・芸術…等々のジャンルで執筆していくよ!

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